心の丸窓(28)
こころの療養を支えるいくつかの制度について

☞「心の丸窓」は心の杜の医師・心理師による心の診療に関するコラムです。

う つ病などの精神的な不調により、やむをえず休職せざるをえない場合や、治療が長期にわたってしまう場合、病状そのものについての心配とともに、経済的な先
行きに関しても不安がよぎるものです。医療費や生活費を捻出できなくなると心配するあまり、本来必要なはずの休養や治療自体を諦めてしまうこともあるかも しれません。そうした不安を少しでも軽減し、療養に専念することを支える制度がいくつかあるのですが、案外に知られていないように思います。そこで今回
は、2つの制度の概略をご紹介します。

 

(1) 傷病手当金

傷病手当金とは、雇用労働者が加入している健康保険の「保険者」から支給されるもので、病気や怪我のために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、病気休業中の生活を保障するために設けられた制度です。この場合の「保険者」とは、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「健康保険組合」のことで、支給の条件は、業務外の病気やけがで療養中であること、療養のため労務不能であること、連続して3日間会社を休む「待機」の期間を経て、4日以上休んでいること、給与の支払いが無いこと、となります。支給額は、1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する額で、その支給期間は、支給を開始した日から数えて16か月です。

また、残念ながら退職となってしまった場合でも、次の2点を満たしている場合には、引き続き、残りの期間について支給を受けることができます。退職日までに継続して1年以上の被保険者期間 があること、保険の資格喪失時(つまり退職時)に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること、が継続給付の条件となります。

 

(2)自立支援医療制度

公的医療保険による通院医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。うつ病などの精神疾患で、通院による治療を継続する必要性のある病状の方が対象となります。所得に応じて1か月あたりの自己負担額を決定するのですが、公的医療保険で3割の医療費を負担しているところがおおむね1割程度に軽減されます。ただし、入院治療、公的医療保険が対象とならない治療・投薬の費用、精神障害と関係のない疾患の医療費、は対象外です。

 

  詳細は、傷病手当金に関してはご自身が加入している「保険者」に、自立支援医療制度については市町村の担当窓口(障害福祉課・保健福祉課など)に確認して
みてください。治療を安心して継続できる環境の整備も大切なことです。こうした制度のご利用の際には主治医の意見書が必要になりますので、お申し出くださ い。

(耕雲 記)

 

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