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心の丸窓(42)カウンセリングとセラピー

「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

 

「カウンセリングを受けたい」と希望して私たちの元を訪れる方がいらっしゃいます。しかし患者さんご自身それがどういう方法であると想像し、それによって何を期待していらっしゃるのかを伺うと、かなり漠然としていたり、誤解を含んでいたりすることが少なくありません。それはある意味で無理もないことなのです。 なぜなら専門家の間ですら、この「カウンセリングとは何か」についての共通認識は未だ得られていないのですから。そこで今回は「カウンセリングcounseling」とはどのようなものかについて、それと類似しながらも質の異なる「セラピー」と対比しながら解説することにしましょう。

「セラピーtherapy」 は和訳すると「療法」になります。「療」の字に「病だれ」が付いていることから察せられるように、それは基本的に「病い」の状態にある方を、一定の専門的 方法を用いて健康な状態に復することを目指す臨床的営みを指しています。私たちの専門領域に限れば、病いの対象は主に「心」あるいは「精神」なので、それ を表す「サイコpsycho-」を頭に冠して「サイコセラピーpsychotherapy」、 日本語にすると「心理療法」、あるいは「精神療法」のことを指しています。これに対してカウンセリングは基本的には「病い」をその対象とはしません。むしろ他者や社会との実生活上の関わりについての課題や悩みがその主題となります。ですから、心理カウンセリングの他にも、世の中にはキャリアカウンセリング、エステティックカウンセリングなどさまざまな生活分野のカウンセリングがあります。またカウンセリングとセラピーとでは方法にも大きな違いがあります。カウンセリングでは悩みの内容を詳しく伺い、整理し、それに対して専門的立場から、より具体的な助言をすることが中心になります。一方セラピーでは具体的悩みや課題にとどまらず、その基礎を成すお一人お一人の「自己」の、より深い理解と成長を通じた治療が主たる目的となるので、特定のテーマに限定することなく、自由に語られる内容を手掛かりに自分を見つめ直す作業が積み重ねられることになります。サイコセラピーには、その拠って立つ理論、治療の目標、方法によって幾つもの種類がありますが、それについては次回詳しくお話ししましょう。

(カラマツ林の梟 記)


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