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心の丸窓(30)命日反応

「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

  

 昨秋のとある夜、私は高校時代の仲良し二人と会食をしました。実はその一ヶ月ほど前に、そのうちの一人の愛犬が14歳で天国へ旅立っていたのです。悲しみに暮れる彼女を想い、私達が開いた「偲ぶ会」でした。彼女の眼には一瞬涙が溢れましたが、その後はいつもの穏やかな表情で愛犬の思い出話をしみじみと語り、私達はそれに耳を傾けたのでした。それからも彼女の悲しみはまだ十分に癒えてはいないけれど、幸い病むまでには至らず暮らしています。

 さて心の丸窓(25)では、大事な対象を失ったことによる心への衝撃は、その後暫くだけではなく、年余にわたり変遷しながらその人の心の在り様に影響を与えていくことが述べられています。その一つに「命日反応」と呼ばれるものがあります。それは、命日など深刻な対象喪失をした時期の前後に、その時の想いとともに心身の変調が反復して起きることを言います。として例えば先の友人ですが、今年の秋が近くなるにつれて亡くした愛犬への想いを新たにし、物悲しい気分が強くなるかもしれません。こうした反応も、自然の経過とみなせる程度のことが多いでしょう。しかし生活に支障を来すほどならば、対象を失ったことからの回復過程での心の作業(喪の仕事)が滞っている可能性があります。このような場合には、早めに専門家に相談することをお勧めします。私達は、患者さんから良くお話をうかがった上で、必要に応じて薬物療法やカウンセリングなどその方に合った適切な治療を行い、心の健康を取り戻すお手伝いをしています。

(MUSASHI:記)


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