心の丸窓(63)結果と過程について

☞「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

「結果がすべてだ」、「結果を出さないと意味がない」という言葉を聞くことがあります。勝つこと、成功することが努力することの意味のすべてだという考え方かもしれません。

しかし本当にそうなのでしょうか?例えば人生の結果は、最終的な到達点という意味では死ということになります。その考え方からすると、いかに充実した人生であっても結果は死です。

昔、短編ドラマでこんな話がありました。ある会社員が通勤電車で寝てしまい、起きて会社に着いたら数年経っていて出世していた。それが何度か繰り返され、通勤電車で寝ると時が早く経過することに会社員は気づいた。会社員は早く出世したいと、特急に乗って通勤し、その途中で寝ることを試みた。今度はさらに早く時が過ぎ、社長になっていた。会社員はうれしくなって、新幹線で通勤し途中で寝たら自分はどれだけ偉くなっているんだろう、とそれを試したところ、新幹線の中で事切れたという話です。

結果と過程について考えるにあたって、人生の結果というのはある極端な例とも言えるでしょう。観点を変えれば、結果を出そうと頑張ることには生産的な面もあります。一方、過程を大事にして過程自体を楽しむということも、人生を充実した楽しいものにするために大切なことなのではないでしょうか。ある結果を目指して努力していく中で、少し前の自分より成長した自分になること、いろいろな体験をし、考え、感じること。そこにも人生の醍醐味があるという考え方もできるのではないでしょうか?

(月河葵 記)