心の丸窓(23)ストレスを溜めない生き方〜不動智の境地〜

☞「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

 私たちがストレスにさらされた時、それにうまく対応できればストレスを溜め込んで病的状態に陥らず適応していけることは、すでに心の丸窓(17)(18)で述べられました。

 ところで皆さんは不動智という言葉をご存じでしょうか? 不動心と較べると、馴染のない言葉かもしれませんね。不動心が、「何事にも動揺しない心のありよう」を指すのに対し、不動智は「何事にもとらわれない、自由に動く心のありよう」を指すのですが、これは江戸時代に沢庵という禅僧が剣術家柳生宗矩との兵法談義の中で説いたものです。

  もしも私たちの心が不動智の境地に達していたら、どんなストレスに見舞われても自分の願望や人からの評価、将来の不安、健康上の不安などにとらわれること
なく、泰然自若としていられることでしょう。ところが凡人の私たちは、そういうわけにはいきません。さまざまなことにこだわり、とらわれて神経をすり減らし、不合理に何度も同じ行為を繰り返してしまったり(強迫神経症)、身体の病気ではないかと過剰にこだわり心配になったり(心気症)、適応障害<心の丸窓(6)(12)(21)>やうつ状態<(2)(3)(5)(10)(11)(13)(15)(16)>に陥りかねません。

  そんな時には早めに受診しましょう。最近ではこだわりを和らげる効果のある薬も、一般的に処方されています。また精神療法の中で、とらわれやこだわりの無
意識的源泉を探究することが役に立つこともあります。沢庵によれば不動智の境地に至るには、特定のことに心を留めず心を自由にさせておくよう修行を積むことが必要とあります。でも不動智を求めようとし過ぎることはかえってとらわれを生むことになるし、難しい道のりです。まずは、気がかりなことがあっても必要以上に思い煩わず適度な気分転換の方法を身に付けたり、適切な相談相手の力を借りるといったことを心掛けてみてはいかがでしょう。

(MUSASHI 記)

 

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