心の丸窓(10)うつの症状

☞「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

 うつの症状には、大きく分けて精神面の症状と身体面の症状があります。さらに精神面の症状は、感情面の症状(ゆううつ気分、気分の落ち込み、悲観的気分、イライラ感、心配性、罪悪感、自責感、死にたい気分など)思考面の症状(思考力・集中力・記憶力・判断力の低下、考えのまとまらなさなど)意欲面の症状(億劫感、無気力、興味や関心の低下など)に分かれます。また身体面の症状には、だるさ、疲れやすさ、痛み(頭痛・筋肉痛・腹痛・目の痛みなど多彩)、肩こり、不眠(典型的な場合は、朝早くに目が覚める。人によっては寝すぎのこともあり)、食欲低下(人によっては食べ過ぎのこともあり)、性欲減退、胸やけ、便秘など、本当にいろいろなものが見られます。そして、精神的な症状が目立たず、身体的な症状だけが患者さんに自覚される場合を「仮面うつ病」ということは、丸窓(5)で紹介しました。

 患者さんたちは、こうした症状のいくつかを自覚し不調を感じて受診します。そこで重要なのは、医師による丁寧な問診です。なぜなら、うつの症状の多くは患者さん自身にしかわからない主観的なものだからです。ですから、患者さんが訴える症状だけでなく、「~~のようなことはないですか?」などと医師の方からも可能性のありそうな症状について尋ねてみることも必要です。私は例えば思考力や集中力の低下に関しては「頭が固まって石のように感じたりしませんか?」とか、「活字を見ても頭に入ってこなくて困っていませんか?」など、患者さんの体験に即した質問をするように心がけています。そうすることで、より詳しい診断に近づけますし、患者さんは自分の言葉になりにくい主観的な症状の理解を得たことを実感しやすくなり、信頼関係を築いていくことに繋がると考え、日々診療しています。

(MUSASHI:)