最新情報

心の丸窓(61)自尊感情(Self-Esteem)

☞「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。


自己を肯定し尊重する気持ちを自尊感情Self-Esteemとよびます。(日本語で自尊心というと「うぬぼれ」に近いネガティブなニュアンスを伴うことがありますが、英語のSelf-Esteemには自分に価値があると感じられているというポジティブな意味合いがあります。)この自尊感情が低いことは不安、抑うつ、摂食障害などさまざまな精神障害の基盤になる場合があります。自尊感情が低いと、何を言うにも、何をするにも、そして人からどう見えているかを想像する際にも、つまり自分がどんな人間であるかに自信が持てなくなります。些細な間違いや欠点にもすぐに不安になるかもしれません。そして自分が行ったことの結果に対する自身の評価もいつも低くなるでしょう。悪循環です。

自尊感情は幼少期を通して両親をはじめとした周囲の人たちのポジティブな反応によって発達します。それはその人の実際の能力や才能、見た目とは必ずしも関係がありません。身体的あるいは知的能力が平均より低かったとしても、もし両親がその子供のできたことを褒めてくれたら、その子供の自尊感情は発達し、向上することができます。しかしすでに大人になっている時点で自尊感情が低かったとしたら、どうやってそれを改善させることができるでしょうか?それを考えてみましょう。

自尊感情の低さにつながるような評価の低さは、高い期待の裏返しだと私は思います。例えば、もしある子供の テスト結果で、両親がその子供を批判したりがっかりしたとしたら、その子供の実際の結果より両親の期待が高かったということを意味します。同様にもしある人が今月の売り上げについて同僚と比べてがっかりしているとしたら、その人が同僚に勝てると自分に期待していたということになります。

こうした高すぎる期待は、親が子供を基本的に信頼しているということとは別のものです。もし両親がその子供を信じているなら、たとえ子供が学校のテストで低い点数を取ったとしても、その信頼は失われず、何らかその子供独自の価値があることを信じるでしょう。それはたぶん学校のテストでは測れないものなのです。

(自分に対する)高い期待を手放すのはとても難しいと感じる人がいるかもしれません。もし高い水準を目指そうと試みることをやめたら、自分の全ての価値を失ってしまうと恐れるからです。また自分にそれほど期待することができないということを認めるのは傷つく事かもしれません。しかしもしそれを手放すことができたなら、自分の家族、友人、同僚を含む周囲の人たちや日々の生活が、それでも変わらずに存在し、生き続けているのを見出すことでしょう。うまくいけば、そんな平凡であるけれど現実的な生活に違った価値を見つけることができるかもしれません。

(具眼 記)

marumado_61.png

心の丸窓/Roun  << 前のブログ記事  | 次のブログ記事 >>