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心の丸窓(40)思春期

「心の丸窓」は心の杜の医師による心の診療に関するコラムです。

 

 思春期は人の心が発達するために人生でもとても重要な時期ですが、同時に通過するのがとても難しい時期でもあります。両親にとっても試練の時となるでしょう。今回少しこれについて考えてみたいと思います。

 思春期の課題の一つは自分の性的な肉体を受け入れ、それに適応していくことです。エディプス葛藤(異性の親とパートナーになりたいという欲求と、同性の親とライバル関係になる幼児期性愛の葛藤)がこの時期によみがえり、再び課題として取り組まれなければなりません。

 彼らにとってもう一つのとても重要な課題は、大人としてのアイデンティティを確立することです。言い換えれば、両親から独立していかなければならならないということです。この課題は想像するよりかなり大変なことです。なぜなら、彼らは自分たちのことを不適格で、他の大人達より劣っていると感じ、非常に不安でもあるからです。これらの不安を見ないようにすることが、彼らの大人に対する尊大で馬鹿にした態度を取らせる要因の一つになるかもしれません。彼らは自分自身の価値観や考え方を手に入れるために、自らの両親や両親を体現するもの、つまり学校の先生や権威などと戦う必要があるのです。これらの試みは時々、反抗や、時には暴力的な行動の形をとることさえあります。

 これに対して両親は何ができるでしょうか?私は個人的には、親が彼らの敵で居続けることはとても重要だと思っています。しかも彼らが反抗的である必要性を理解しつつ敵で居続ける必要があります。上に説明したように彼らは自立するために、親のような対象や権威と戦う必要があります。彼らはその上で、親は権威を象徴するものではなく、実はこれから生きていく辛い現実を体現しているのだ、ということを理解する必要があります。しかしそれは時には彼らにとって受け入れがたいものかもしれません。

 私はこの過程がいつも安全で穏やかなものになると言っているわけではありません。それは時には悲劇的な顛末を辿ります。しかし両親はもはやこの悲劇を以前子供達が小さかった頃のように止めることはできないし、それを思春期の子供達は認識しなければならないのです。なぜなら思春期の圧倒的な衝動から子供達と親自身を守る力が、両親にはないからです。そして両親も、彼らの子供達がもはや子供ではなく、自分たちとは分離した個人であるという事実を、痛みを伴って受け入れなくてはならないのです。

フォースがともにあらんことを。

*本稿は、心の丸窓(39)の日本語版です。

 

(具眼 記)

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3月26日(土)臨  << 前のブログ記事  | 次のブログ記事 >>  新任医師のご紹介